君の症状は? part1 設問見て固まる

小論文が書けないと嘆いている君へ、書けない理由を診察して、処方箋を出してみよう。

症状は思いつくたびに更新してみたいので、君の書けない病がどんな症状かを寄せてくれると助かります。

  • 出題されたら、答えを考える段階で固まってしまう病
今回は、これについて原因別に処方箋を出してみよう。
出題を前にして、答えが出ない人は、いくつか原因が考えられます。
  1. どこかに正しい答え(正解)あって、正解を書かなければならないと思い込んでいる。
  2. 出題者の出してくれているヒントに気がついていない。
  3. 出題そのものが理解できていない。
  4. 出題は理解した。でも、自分の考えが浮かばない。
  5. 出題に答えるにはあまりにも知識が足りていない。
では、原因別に処方箋を書きます。
  1. 小論文は、数学のように正解が一つではない。問いに対して自分の考えを答えれば良い。何かすごい答えや立派な答えを出そうなんて思わなくて良い。こうした、思い込みを捨てて、最初は思いついた答えをメモに書き出してみよう。
  2. 入試問題などの小論文の出題には、たいてい答えの方向を示すヒントがあることが多い。課題文が付いていたり、図表が出ていたり、短い設問文の中にも、こんな方向で考えれば良いよ、というヒントが隠されていたりする。そのヒントを注意深く探してみよう。
  3. 出題のどこが分からないのか、頭を冷やして考えてみよう。分からない言葉があるのか、「問い」が見つからないのか。入試本番でない限り、言葉が分からなければ調べよう。問いが見つからないのは、出題自体が、テーマしか示していない場合と、疑問文の形ではないけど、実は「問い」が隠されている場合がある。テーマしか示されていないのなら、テーマについて自分が思いつく限りの「問い」を疑問文の形で書き出してみよう。いくつか疑問文ができたら、それらについて自分なりの答えを書き出してみよう。その中で、これなら、理由が書けそうだと思うものに絞り込んで行こう。出題に疑問文は見当たらないけど、問いが隠れているかもしれない場合もある。例えば、「格差社会が問題になって久しい。しかし、近年はむしろ子どもの貧困という形で格差社会の問題が論じられることが増えている。こうした変化についてあなたの考えを述べよ。」という出題だったとしよう。ここには明確な疑問文としての「問い」はないようにも見える。しかし、よく読んでみよう。格差社会についてはけっこう前から問題になってるよね。でも、最近はこの問題が子どもの貧困という問題意識へと変化して来ているんだよ。そうした変化はなぜ起きているのかな? というふうに、この出題に隠された「問い」が見えてくる。
  4. 自分の意見がない。そう思ったら、自分じゃない人になりすませばいい。例えば、自分の習ってる先生やお父さん、小論文ネタ本の執筆者など。僕がよくやるのは、倫理の教科書に出てくる思想家の考えに当てはめてみること。
  5. 普段、勉強をおろそかにしているために、あるいは世の中のことに全く興味をもっていないために、圧倒的に知識が不足している場合は、やはり、いくら書き方を勉強しても、問いに対する答えは浮かばないでしょう。もしも、これが原因だとしたら、けっこう重症だと思って今から普段の勉強を見直した方がいいかもしれない。小論文の中には、身近な経験から書けるような出題もある。例えば、スマートフォンの普及による影響について述べよ。などは、自分がスマートフォンを使っていれば全く書けないことはないだろう、少しは書けるはずだ。良い面と悪い面の両方を考えて、スマートフォンとどのように付き合っていくべきだと思うか述べよ、とくれば、問いも答えの方向も示してくれているのでますます書きやすいだろう。しかし、いつも、こんなふうに経験だけで書けるような出題とは限らない。大学入試ともなれば、高校で習う授業をおろそかにしていると太刀打ちできない出題も多いはずだ。受験まで時間がある限り、書けないテーマにぶつかったら、そのテーマについて調べよう。それこそ、何のためにスマホや携帯電話を持ってるの?  ググれ! そして、パクれ! 文章をそのままパクるんじゃないよ、知識をパクれ! そして、今からなるべくまんべんなく、教科科目の勉強を頑張ろう。そして、新聞を読んだり、ニュースを見たりしよう。あとは、教養番組を録画して見るのも良い。例えば、NHKのクローズアップ現代とか、ニュース深掘りとか、民放なら、池上彰さんのニュース解説番組とかを見るのも良いだろう。ぼくは、自分の生徒には学校で買わされる資料集を読め!とよく言うことがある。特に、公民科や家庭科などの資料集を暇な時に読みまくれ、ってね。受験する学部や学科にもよるけど、文系学部希望なら、これはかなり有効な知識が得られる。とにかく学校の勉強はどの科目もバカにしてはいけない。数学の証明問題を解く練習は論理的な文章を書く力がつくだろう。理科の知識も多いに役立つ。理数系科目の勉強は、論理性を磨いてくれる。いや、政治経済などの社会科だって、実は論理的に考える力が必要だ。また、テーマによっては体育や保健の知識も大いに役立てることができる。家庭科は小論文のネタの宝庫だ。特に家政科系や医療系、体育学部系、教育学系などでは、家庭科の知識があると書けるテーマも多い。それより何より、知識が欠けていることが原因で書けないことはあっても、知識が多いことが原因で書けないことはないはず。勉強する前から、これ勉強して何の役に立つのかと考えて、役に立たないなら勉強しないと思うような省エネ勉強しかしてこなかった人は、その考えを捨てるところから始めよう。役に立つから勉強するんじゃなくて、勉強したから役に立つのです。学ぶ前から役に立つかどうかなんて分からないのが勉強です。ハイ!やっぱり僕は学校の先生ですね、ここ、妙に力が入ってしまいました。ふ〜。
あとは、今の所次のような症状が考えられます。これを一個一個、次回以降に考えて行きますね。
  • 自分の出した答えの理由を説明しようとすると、理由が浮かばない病
  • 数行は書けるけど、沢山は書けない病
  • 書いたんだけど、内容がないよう病
  • 書いているうちになんだかこんがらがる病

Part2 自分の出した答えの理由が思い浮かばない病

自分の出した答えに理由がない人は、実は普段からあまり物事を深く考えていないのでは?(失礼)
普段から物事を好き嫌いで判断して終わらせていませんか?

良い文章が書けるか否かの決定的な差は、どこまで広く深く考えることができるかです。この広く深く考えることには、ちょっとしたコツがあります。そのコツを身に付ければ深く考えることは難しくありません。

深く考えるためのコツ
•  出てきた答えの背後にある事実と理由を自問自答してみて、「なぜなら、…からだ。」を使って文にしてみよう
   皆さんは、好き嫌いに理由があると思いますか?
   好き嫌いにも理由はあります。ただ、普段はあまりそこまで深く考えていない人が多いですね。また、改めて理由を考えるまでもないほど自分の中で「当たり前」だと思い込んでいることが理由の場合は、なおさら考えないでしょう。
   例えば、好きな先生と嫌いな先生がいたとします。嫌いな先生が、なぜ嫌いなのか考えてみてください。最初から嫌いだったのでしょうか?ルックスや雰囲気が生理的に受け付けないなどの理由もあるかもしれませんが、多くの場合、嫌いになったきっかけがありませんか?ある時、先生に質問しに行ったら、教えてくれるどころかお説教されて返されたなど。人は大抵、自分が期待する反応と反する対応や態度を取られるとその人を嫌いになります。問題は、そうした否定的な判断を下した背景にある理由を言葉にできるか否かです。例えそれがあなたにとって当たり前過ぎて、あえて言葉にする必要がないようなものであったとしてもです。
    なんとなく嫌いだな、のレベルから「なぜ」嫌いなのか自問自答してみましょう。あの時、ちゃんと質問に答えてくれなかったから嫌いになった。だとすれば、あなたは、先生というものは、生徒の質問にはちゃんと応えて教えてくれるべき存在だと思っているのです。当たり前じゃん!そうでしょうか?あえて答えを教えないという考え方があるのかもしれません。先生は教えるべき!というのはあなたの中にある先生像です。
   つまり、あなたの考える先生像が背後にあって、それに反したために嫌いになったのだとすれば、それを言葉にすれば良いのです。
    私は、あの先生が嫌いだ。なぜなら、先生は生徒の質問にはきちんと応えて分からないことを教えてくれるべきなのに、あの先生はそうしてくれなかったからだ。
    判断の背後にある理由には、事実とその事実に対するあなたなりの考えが横たわっています。それを「なぜ」という言葉で自分に問いかけ、自分の中にある理由を探して言葉にする。そうした癖をつけていけば、自分の出した答えの理由が書けるようになるはずです。

•  似たようなものの違いを見つける
   深く考えない人は、だいたい物事の見方が大雑把というか、雑です。例えば、勉強は嫌い!と言い切ってしまえば簡単ですが、本当に勉強が嫌いなんでしょうか?好きなものもあるのでは?
例えば、数学と社会ならどっちが好きですか?自問自答してみてください。え?どっちも嫌い?強いて言えばどっちかな?全く同じくらい嫌いではないのではありませんか?
   ちょっとでも違いがあれば、その違いは何かを考えてみましょう。私は、社会が嫌いでした。それは、暗記が苦手だったからです。しかし、数学は好きでした。覚えることが少なく、覚えなくてもその場で考えれば解けるからです。同じ英語でも、英単語を覚えるのは嫌いでしたが、英文法の穴埋めは好きでした。僕の場合、何かそこに法則や理屈があれば好きになれるということが分かり、社会科も法則や理屈で考えるようにしたら好きになりました。どうですか?同じように見えても、違いを見つけるとまた違う面が見えてくるでしょう?

•  細かく分けてみる
   次に、同じものでもさらに細かく分けてみるということも重要です。嫌いなものでも、ちょっと好きな部分もあるかもしれません。例えば、嫌いな動物がいたとして、全部嫌いか考えてみましょう。どこかしら好きな部分はありませんか?僕は昆虫が嫌いです。どうして嫌いかというと、まず、目です。カマキリの目を見たことがありますか?あの目は何を機械的で感情が感じられず怖くなります。他の部分も嫌いですが、目が決定的です。だから、実は目があまり大きくない、というか目立たない昆虫は比較的嫌いではないです。

•  違うものどうしの共通点を見つけよう
   AとBを比べて違いを見つける。ラージAをa1、a2…と細かく分けてみる。とやってきました。次は、AとBに共通することを考えてみましょう。

次に、思い浮かんだ答えの理由を考えてみよう。

試しに、君の好きな食べ物と嫌いな食べ物を思い浮かべてみよう。
例えば、カレーとラーメン